SUPER GT第7戦 Chang SUPER GT RACE

国内ではどんどんと秋が深まっていった10月7~8日、タイ王国の、首都バンコクから北東約400kmに位置するブリーラム県にあるチャン国際サーキットにおいて、2017 AUTOBACS SUPER GTシリーズの第7戦、Chang SUPER GT RACEが行われた。シリーズも大詰めが近付き、第7戦となった今回は、ウェイトハンディが半減されることになり、より迫力のあるSUPER GTバトルが期待されるところとなった。


タフなコンディションに光った平川と柳田の走り

 今年で4回目を迎えるタイ・ブリーラム・ラウンド。熱帯性気候の特徴的なスコールがコースを水浸しにすることは、毎年恒例だったが、これまで3回は、走行セッションがウェットコンディションになることはなかった。ところが今回は、ドライコンディションの公式練習から一転、セッション直前にスコールに見舞われQ1は完全なウェット。Q2もハーフウェットの難しいコンディションとなった。そのコンディションが難しいQ2で、きらりと光るところを見せたのがNo.37 KeePer TOM’S LC500の平川亮。ランキング2位で、半減された今回でもハンディウェイトは48kgもあり、それを考えると頭一つ抜きんでたアタックとなった。


これにNo.12 カルソニック IMPUL GT-R、No.17 KEIHIN NSX-GTと続き、はからずも3メイクスの車両がトップ3を分け合うこととなった。一方、GT300クラスではNo.21 Hitotsuyama Audi R8 LMSがチーム始まって以来となる嬉しいポールを奪っている。Q1ではリチャード・ライアンが、Q2では柳田真孝が、ともにトップタイムをマークしているが、なかでも柳田は、2番手以下に1秒の大差をつけるスーパーラップ。ハーフウェットからドライに変わっていく難しい局面で、両クラス合わせて3度チャンピオンに輝くベテランの味を見せつけた格好となった。

各車それぞれの作戦で決勝に臨む

日曜日に行われた決勝レースは、各車がグリッドに着いたところで雨が降ってきて、コースは完全なウェットとなってスタートが切られることになった。スタート時のタイヤ選択もチームによって様々で、コンディションの読みにくい、難しい展開となった。セーフティカー(SC)の先導によってスタートが切られ、3周目からレース状態となったが序盤から、ポールスタートのNo.37 KeePer TOM’S LC500が快調に先を急ぐ展開となった。トップからは少し水を空けられながらもNo.12 カルソニック IMPUL GT-Rが2番手をキープ。その後方ではNo.17 KEIHIN NSX-GTを先頭に4台による超接近戦が展開されることになった。

路面が次第に乾いていくことを察知したか、レインタイヤでスタートした車両の中からドライタイヤに交換する車両も現れ、10周を終えたところで先ずはNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rがピットにかけ込んでいる。一方スリックタイヤでスタートした車両は、スタート直後は上位陣よりも20秒以上もペースが遅く、GT300の車両にもパスされるありさまだったが、この頃になると少しずつ好ペースを取り戻してきた。レインタイヤのペースが下がり、ドライタイヤのペースが上昇。その“損益分岐点”は10周を過ぎた辺りだったようだ。このタイミングを見計らったように、13周目を終えた辺りからは上位陣が続々とタイヤ交換のためにピットイン。トップを快走していたNo.37 KeePer TOM’S LC500も14周を終えたところでピットに向かっている。

通常の、いわゆるルーティンピットインが始まったのはレースの折り返しを迎える前、27周を終えた辺りからだった。上位陣が総てレインからスリックに交換した時点で再びトップに立って快走していたNo.37 KeePer TOM’S LC500は34周を走り終えたところでピットに向かい、ニック・キャシディから平川に交替。素早く作業を終えてピットアウトしている。注目すべきはアウトラップ。ピットインのロスタイムも含めて計測されるアウトラップが、他車に比べて数秒から10数秒速いのだ。タイヤ無交換でルーティンピットを終えたNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rと比べても数秒遅い程度だった。さらにピットアウトから2周後に平川は、1分25秒943の自己ベストをマークしている。絶対的な速さで言えばNo.12 カルソニック IMPUL GT-Rのヤン・マーデンボローがマークした25秒499には及ばないが、走り始めてすぐにベストタイムをマークした辺りにも、この日の平川の走りがキレていたこと、そしてチームがキッチリとタイムを稼いでいることが分かる。

2位以下の悲喜こもごも。GT300はJMS P.MU LMcorsa RC F GT3が2勝目

全車がルーティンのピットインを終えたところで再びトップに立ったNo.37 KeePer TOM’S LC500は、その後も全く危なげないレース展開でトップチェッカー。開幕戦以来となる今季2勝目を挙げ、ポイントリーダーとして最終戦に臨むことになった。惜しかったのはNo.12 カルソニック IMPUL GT-R。レース序盤は2位をキープ。ルーティンピットを終えた後半スティントでもNo.6 WAKO’S 4CR LC500 に次ぐ3位をキープしていたが、残り3周を切ったところでストップしてしまったのだ。エンジン系のトラブルと聞いたが、表彰台は確実と思われていただけに、残念な結末だった。これでNo.17 KEIHIN NSX-GTが3位チェッカー。地元の工場関係者ら600人を繰り出した大応援団の前で、第3戦のオートポリス(2位)以来、今季2度目の嬉しい表彰台となった。

一方GT300はスタートからトップを快走したNo.21 Hitotsuyama Audi R8 LMSがレースの前半を支配することになったが、こちらは終盤に来てトラブルが発生。ガレージに戻ってレースを終えることになった。その後方で激しい2位争いを展開しながら、19周を終えたところでピットイン。レインタイヤからスリックタイヤに交換するとともに、中山雄一から坪井翔にドライバー交替まで行ったNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3がレース後半の主役となった。やはり的確なレースを組み立ててこの時点で2位につけていたNo.4グッドスマイル 初音ミク AMGは、後半のスティントをベテランの谷口信輝が担当していたが、若い坪井は完全にバトルをコントロール。ギャップを一定に保ったままレースを走り切っている。終盤にNo.55 ARTA BMW M6 GT3と激しいバトルを展開しながらも、何とかこれを振り切ったNo.33 D’station Porscheが入り、FIA-GT3勢が表彰台を独占した。

 

ライター:原田 了