「MCL32 はドライバーが心から信頼できるマシンだと思う」
バルセロナ・カタルニア・サーキット、5月14日(日)
McLaren-Hondaは、バルセロナ・カタルニア・サーキットで開催された今季初のヨーロッパ戦にアップデートを持ち込んだものの、レースでそれを活かすことができませ んでした。
ストフェル・バンドーンは、グリッドの最後尾から好スタートを切り、1周目の終わりまでに15番手に浮上。ジョリオン・パーマー選手(Renault)と激しいバトルを展開し、力強いオーバーテイクをしたにもかかわらず、1回目のピットストップの際に集団の中でポジションを維持することができず、32周目まで16番手で走行を続けました。その後、フェリペ・マッサ選手(Williams)がピットストレートでバンドーンの背後に迫ったものの、バンドーンにはそれが見えず、両マシンが接触。その接触によりバンドーンはマシンのサスペンションに損傷を負い、レースをリタイヤする結果となりました。バンドーンは、このアクシデントにより、次のモナコ戦で3グリッド降格ペナルティを科せられます。
一方、フェルナンド・アロンソは、7番手という今季最高のグリッドからスタートしたものの、2コーナーでマッサ選手に外に押し出されてグラベル(砂利が敷かれたランオフエリア)にコースオフ。オープニングラップで、スタート時のポジションを失う結果となりました。順位を落としたアロンソは、1周目の終わりには11番手を走行。 その後は、比較的高速と言われるこのサーキットで順位を上げることができず、1回目と2回目のピットストップでさらにポジションを落とし、それ以降は15番手で走行。 果敢な走りと、51周目に行った予定外の最終ピットストップによってレース終盤にペースを上げ、最終的にアロンソは母国グランプリを12位で完走しました。
アロンソは今夜、米国インディアナポリスに移動し、インディ500でのデビューに向けて、明日の午前中に1回目のフリー走行に臨みます。その一方で、今週はジェンソ ン・バトンがマクラーレン・テクノロジー・センターを訪れます。2週間後に開催されるモナコGPでアロンソの代役を務めるために、シミュレーターで再びドライブする予定です。
フェルナンド・アロンソ
#FA14
MCL31-03
スタート 7番手
レース結果 12位
ファステストラップ 1分23.894秒 64周目(トップとの差 +0.301秒、4番手
ピットストップ 3回: 12周目(ピットストップ時間 3.22秒)[オプション→オプション]
31周目(ピットストップ時間 4.49秒)[オプション→プライム]
51周目(ピットストップ時間 3.49秒)[プライム→オプション]
「今日のレースは、予定通りの展開にはなりませんでした。2コーナーでフェリペ・マッサ選手と接触したのは、少し不運でした。その後レースの中盤では、ダニール・クビアト選手(Toro Rosso)の後方で何周にもわたって引っかかってしまいました。ただ、それがなかったとしても、正直言うと今日はポイントを獲得できるほどのレースペースがありませんでした。
少し残念な思いですが、少なくとも今日はレースを完走しました。この結果が、信頼性の面で一歩前進したことを示す最初の兆しであることを願っています。次のグラン プリに向けて、さらに準備する必要があります。
明日の午前9時に(インディ500のレースが開催される)ブリックヤードに到着し、正午にはマシンに乗って1回目のフリー走行を迎えます。今から現地入りするまでに14 時間ありますが、その内9時間は機内で過ごします。ですから、これからインディモードに切り替えて、今後2週間はインディに全集中力を注ぎます」
ストフェル・バントーン
#SV2
MCL31-04
スタート 20番手(PUコンポーネント交換によるグリッド降格ペナルティ)
レース結果 DN(32周目のマッサ選手との接触事故によりサスペンションを損傷しリタイヤ)
ファステストラップ 1分27.554秒 14周目(トップとの差 +3.961秒、18番手)
ピットストップ 1回: 12周目(ピットストップ時間 3.07秒)[プライム→オプション]
「マッサ選手との接触事故については、まだTVでちゃんと確認できていません。マッサ選手があの場所にいるとは思っていませんでした。マッサ選手が追い抜けるように十分なスペースを確保したつもりでしたが、残念ながら、両マシンが接触しました。それによってマシンのフロントホイールが破損し、私のレースはそこで終了となりま した。
だれかを非難したいわけではありませんが、個人的には、あれはレースでは避けられない事故だったと思います。
ジョリオン・パーマー選手を追い抜くことに成功しましたが、私にとっては今季初のオーバーテイクでした。ですから少なくとも、今日のレースから得るものがありま した。オーバーテイクする際に非常にいい感触を得ましたが、その事実が我々のマシンにまだ十分な強さがなく、ライバルチームのマシンと競い合うレベルまで達していないことを物語っています。ここに持ち込んだアップグレードによって、今回のレースでは一歩前進することができました。一部のエリアでは確実に改善しているもの の、レースではまだ少し苦労しています。次戦でさらに改善できることを願っています。
モナコ戦がどうなるのかを予測するつもりはありません。ただ、車体の方は改善しつつありますし、効果をもたらすアップデートがさらにいくつか導入できることを願っています。今の私たちにできることは、様子をみて、ベストを尽くすだけです」
エリック・ブーリエ
McLaren-Honda Racing Director
「昨日の予選で励みになる走りをみせていただけに、とても残念な気持ちであることは言うまでもありません。 本人のミスではないにもかかわらず、フェルナンドは1周目でフェリペ・マッサ選手との接触に巻き込まれてコースオフし、その直後にポジションを6つ落とす結果となりました。それ以降は懸命にプッシュしていたものの、前方のマシンとの差を詰めることができず単独でレースを展開し、12位でフィニッシュしました。
一方のストフェルは今朝、パワーユニットの構成部品を一部交換することをチームとして決断した結果、10グリッド降格ペナルティを科せられ、最後尾の20番グリッドからスタートしました。ストフェルはそこから、レースの最初の3分の1は非常に懸命にいい走りをし、20周目までに16番手に順位を上げました。中でもジョリオン・パー マー選手のマシンを力強くオーバーテイクしたのは、今日のハイライトでした。
残念ながら、その後、フェリペ・マッサ選手のマシンと接触したことでサスペンションに損傷を負い、マシンがドライブ不可能となったため、ストフェルの快進撃は33周目でストップすることになりました。
レース結果に関して言うと、今日は我々にとって忘れるべき一日です。それでも今週末は昨日の着実な予選ペース以外にも、前向きな点がいくつかありました。MCL32は ドライバーが心から信頼できる車体であることは明らかです。その資質が次のモナコに向けて、いい兆しとなります。2週間後にはモナコの曲がりくねったストリートサ ーキットで、再びライバルチームとの戦いに挑みます」
長谷川 祐介
(株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「昨日の予選はフェルナンドの素晴らしいパフォーマンスによりいい結果となりましたが、そこからすると今日のレースはチームの全員にとって残念なものになりました。
フェルナンドは1周目の不運なアクシデントにもかかわらず、今日もいいレースを見せてくれました。 どのような状況でも諦めず、前を走るマシンを懸命に追いながらいいペースで走ってくれましたが、予選で獲得したグリッドのはるか後方からレースを続けなければいけなかったことは、彼のレースを難しいものにしました。 今日は十分にポイントを獲得できる速さがあったと思いますが、結果的にポイント獲得に至らなかったことは非常に残念でした。
この週末はストフェルについては厳しいものになりました。最後尾からレースを始めることになり、レース中盤でのリタイヤという結果に終わりました。彼はいま難しい状況にいると思いますが、この状態から挽回するために一緒にチャレンジを続けていきたいと思います。
次戦のモナコグランプリも、我々にとっては大きなチャンスになると考えています。 ドライバーのスキルも重要になりますが、ジェンソンとストフェルが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれると思っています。レースに対しては万全の準備をして臨みますし、同時にさらなら競争力をつけるためにマクラーレンと一緒に開発も継続していきたいと思います。」